目黒女児虐待死、母親被告人質問詳報(8完)「真っ黒なホールしか思い出せない」結愛ちゃんのメモは記憶あいまい

 《東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=が両親から虐待を受けて死亡したとされる事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里(ゆり)被告(27)の裁判員裁判。午後1時半に始まった被告人質問は、休廷を挟み、すでに3時間も続いている。8歳年上の夫、雄大(ゆうだい)被告(34)=同罪などで起訴=は、5歳児には困難なかけ算の九九や時計の読み方を練習する“約束事”を結愛ちゃんに課していた。検察官は優里被告にそれらの内容を一つ一つ確認していく》 検察官「被告人自身はどう関わっていたのですか。結愛ちゃんは1人で勉強していたのですか」 優里被告「2人で一緒にやってました」 検察官「雄大被告は一緒にやらなかった」 優里被告「時計(の読み方)の勉強は雄大が『やれ』と言って、九九は私が『やった方がいい』って言ったんですけど」 検察官「雄大被告が作ったチャートというのは」 優里被告「理解していないと雄大が判断したときに作ったと思います」 《「ゆるしてください おねがいします」。結愛ちゃんが生前残したメモは社会に衝撃を与えた。体重や食事の時間とともに「パパとママにいわれなくても しっかりと じぶんからきょうよりかあしたはもっとできるようにするから」などと両親に許しをこう内容だったからだ》 検察官「メモ類は雄大被告も全部見てるのですか」 優里被告「全部は見てないです」 検察官「(結愛ちゃんの)体重が減っているグラフの数字は見ていましたか」 優里被告「はい」 検察官「『ママ』から始まるメモは見たことはありますか」 優里被告「思い出そうとすると、そこが真っ黒なホールしか思い出せません。私はそのときの記憶が抜けていて、覚えているのは、結愛がこれ以上怒られるのを防ぐというので作ったということです。なぜ結愛が『ママ』と書いていたかは分かりませんが、香川にいたとき、雄大がよく『ママにも謝れ』って言っていて、結愛が謝るとき、『ママにもごめんなさい』になったのかと思うんですけど。2月の上旬の話なんですけど、雄大と離婚の話が出た直後…」 《はっきりした口調で話していた優里被告が言葉を詰まらせた》 優里被告「ごめんなさい。話している内容、忘れました」 検察官「では紙片を提示したいと思います」 裁判長「はい」 《メモについて記憶があいまいな優里被告のために、検察官がモニターに結愛ちゃんの残したメモの文言を映した。『被害者が心情等(とう)を記載した紙片(ノート片)』と書かれている》 検察官「結愛ちゃんの心境なんですけど、いつ作られたものか分かりますか」 優里被告「たぶん、2月の中旬以降と思います。何日かは分からない」 検察官「『ママ』から始まる文章と、(紙片の)中央部分にある『きのうぜんぜん』から始まる文章、書いたのは、それぞれいつですか」 優里被告「詳しい日付は分からないんですけど、2つは全然違う日です。手紙自体がまだ読み切れてないので、その2つの時期は今はちょっと…」 《突然、涙声になる優里被告。つらい記憶がよみがえったのだろうか。結愛ちゃんの残したメモはまだ、しっかりと読み返せていないようだ》 優里被告「読んだら思い出すかもしれませんけど、今は証拠を見ていないので…分からないです」 裁判長「(メモの)間違っているところの添削があるけど、誰が書いたの」 優里被告「私です」 裁判長「添削はしたのね」 優里被告「前後の記憶が思い出せないのと、一緒にやったということは間違いないのですけど」 裁判長「分かりました」 《証拠のメモ類には、優里被告が誤字などを添削した部分が残っていたため、裁判長が事実関係を確認したのだろう》 検察官「話は変わるんですけど、雄大被告は(結愛ちゃんを)『メスゴリさん』と呼んでいましたか」 優里被告「逮捕された後に、雄大は結愛のことをそう呼んでいたのかと(警察官が)聞いてきましたが、私は知らないです」 検察官「あなたの記憶としてはよく分からない」 優里被告「先月、証拠を見たときに、『こんなことがあったのかな』と思ったんですけど」 検察官「違う呼び方は」 優里被告「『お嬢さん』って呼んでました」 検察官「(雄大被告が結愛ちゃんに)水シャワーを浴びせたことは聞いていましたか」 優里被告「雄大が逮捕された直後、報道で知りました」 検察官「結愛ちゃん(の体)には170個以上の傷がありましたが、これらの傷は雄大被告がつけたものですか」 優里被告「分からないです」 検察官「何か、家にあるもので(結愛ちゃんを)たたいたりとか、心当たりはありますか」 優里被告「私自身はたたいていないので何とも…」 検察官「足にも傷があるんですけど」 優里被告「警察の人には『タバコを押しつけられたんじゃないか』と聞きましたが、私は分からないです。私自身はやってないです」 検察官「頭にも皮下出血があるんですけど」 優里被告「分からないです…」 《優里被告が消え入るような声で答えた。検察官が結愛ちゃんの体から見つかった傷について一つずつ確認していくが、優里被告には心当たりがなかったのか、質問に沈黙することが多くなっていく》 検察官「(結愛ちゃんは)あばら骨が浮き上がっていて、やせ細っていたのは間違いないですか」 優里被告「はい」 《検察官が優里被告の供述調書を読み上げる形で事実関係を確認していく》 検察官「3月2日、(午後)1時から4時にかけて、パソコンでアニメを見せた。2時から3時、(結愛ちゃんは)舌を動かして飴をなめ、まぶたがゆっくり落ちてきた。明らかに前日と違っていた。5時、(結愛ちゃんに手で)『グー、パーの仕草をして』と言ったところ、完全にはできていなかった。5時半ころ、『小学校に上がったら楽しいことしようね』と言ったところ、(結愛ちゃんは)『うん』と言った…」 優里被告「はい」 検察官「(結愛ちゃんは)まぶたを開けることなく、心臓は動かなかった」 《法廷に設置された時計の針は審理終了予定の午後5時を指そうとしていた》 裁判長「5時になるけど、切りのいいところで」 検察官「もう1点だけ。(自宅の)6畳間に、尿のついたおむつが捨てられていたんですが、これは何ですか」 優里被告「私も聞きたくて、息子のおむつなのか、結愛のおむつなのか。雄大に聞かないと何とも言えないのと、どっちの尿なのか分かってるんだったら…」 検察官「3月2日に結愛ちゃんはおむつをつけていた。このおむつは誰の?」 優里被告「息子のです」 検察官「おむつをつけたのはあなたではない? (結愛ちゃんが)自分で? (それとも)雄大被告が?」 優里被告「雄大がつけたと思います」 検察官「あなた自身が結愛ちゃんのおむつを準備したり、つけたことはないですか」 優里被告「はい」 《すでに審理時間を過ぎており、この日の被告人質問は終了となった。刑務官が優里被告に手錠をかけ、腰縄をつなぐ》 刑務官「じゃ、行きましょう」 《優里被告がうなずき、法廷を後にした。6日も被告人質問が行われる》

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