目黒女児虐待死、母親被告人質問詳報(4)「結愛にハグしたら怒られる」離婚申し出ると説教

 《東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=が両親から虐待を受けて死亡したとされる事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里(ゆり)被告(27)の裁判員裁判では、弁護人による被告人質問が続いている。夫の雄大(ゆうだい)被告(34)=同罪などで起訴=は児童相談所への対応について、優里被告に具体的に指示していたという。法廷に設置されたモニターに、ワープロ書きされたA4の紙が映し出された。優里被告の涙は引いたようで、はっきりとした声で答えていく》 弁護人「これを覚えていますか」 優里被告「これは雄大が作ったものです」 《優里被告によると、児相の職員に対応するときに「この通りに言えば大丈夫だ」と言われたという》 優里被告「それで教えてくれました」 《雄大被告が作ったというワープロ書きの紙が2枚。ほかにも、四角で囲み「警察」と書かれた紙が1枚、「検察」と書かれた紙2枚が映し出された》 弁護人「(対応を)覚え込まされてあなたが書いたものですか」 優里被告「はい」 弁護人「しょっぱなに父親からの母親に対するDV(家庭内暴力)虚偽の1となっている。どういう意味ですか」 優里被告「結愛のことを嘘つきと言っていて、その理由はお母さんもたたかれてるんだって発言したことは雄大は嘘だって言って、『俺はお前にDVなんてしてない』と確認を取ってきて、私もばかだから『うん』って言いました」 弁護人「『嘘の大小・代償』とあります。この意味は」 優里被告「この意味は分からなかったので調べたりしました」 弁護人「雄大さんはテストしましたか」 優里被告「まずここに書いているやつを理解できるまで読めと言われ、その紙を取り上げられ、難しい熟語はどういう意味かと聞かれ、こうですと答えました」 《優里被告は、結愛ちゃんが東京への転居前に通っていた香川県の病院の医師に、困っていることを書いたチェック票を渡したことがあるという》 弁護人「嘘の大小・代償が分かっていないと書き込んだことを覚えていますか」 優里被告「はい」 《雄大被告に教え込まれたものと同じ文言だ。弁護人はどういう意図で書いたのかを確認しようとする》 優里被告「書いた当時は何も考えずに書いたと思います。逮捕後に証拠を見たとき、そのまま書いちゃったんだと思いました」 《雄大被告からこのように指導される中で、優里被告と結愛ちゃんとの関係にも変化があったようだ》 弁護人「結愛さんとの関係も変わりましたか」 優里被告「私と結愛…私と結愛…」 弁護人「2回目の保護のときに、ハグできないと医療センターの人に訴えていませんか」 優里被告「医療センターの先生が『ハグしてみましょう』と言ってくれて、でも私は『ハグできない』と言いました」 弁護人「いつ頃からですか」 優里被告「雄大に怒られてからです」 弁護人「なぜですか」 優里被告「結愛にべったりくっついていると子供扱いするなって言われて。『のどが渇いていない?』とか、お前から先に聞くなとか」 弁護人「かまうな、くっつくなと言われた」 優里被告「はい。ハグしたら怒られます」 弁護人「香川時代はお風呂は一緒に入っていたんですか」 優里被告「雄大がいないときは結愛と息子と入っていました」 弁護人「雄大さんは結愛さんだけ(違った扱いを)していたんですか。息子にもしていましたか」 優里被告「雄大は息子のことをとても大事にしていました。だけど私が息子に赤ちゃん言葉で話すと、『そんな話し方するな』と言われて。息子に対しても大切にしているけれど、態度では大好きって表現できないのだと思いました」 弁護人「例えば『ねんね』とかもだめなんですか」 優里被告「だめ」 弁護人「医療センターでは(担当の医師に)かなり相談に乗ってもらえましたか」 《優里被告は「うーん」と言って考え込んだ。担当医といろいろな話をしたかと聞かれると、考えながらあいまいに小さくうなずいた。弁護人によると、「自分がおかしいのでは?」と相談したこともあるという》 優里被告「雄大と出会ってから結愛に対して『しつけろ』と言われて私に余裕がなくなって、結愛に強い口調で怒ったり、手を上げたこともあるし。手を上げるのは親の快感っていうかおかしいって思ってて。自分が逮捕されても家庭環境を変えるべきだと思って『私、結愛に手を上げてしまう』と言いました」 《結愛ちゃんに「手を上げてしまう」と相談したことを、優里被告は涙声で語った》 弁護人「結愛さんを施設に入れることは考えなかったのですか」 優里被告「雄大に入籍直後からずっと離婚をお願いしていましたが、何度も説教されました。2人で(離婚の)合意がないと逃げられない状況と私の中で思ってしまい、離婚はどうしても無理で、雄大と結愛を引き離さないといけない。結愛を施設に入れたいと雄大に頼みました」 《優里被告によると、そのとき、雄大被告は双方の両親に「何と説明するんだ」と反論してきた》 優里被告「そんなのどうだっていいし、全部私のせいにしていいから。雄大の親にも私が説明するからお願いしますと言いました」 《離婚してどうするつもりだったかと問われると、明確な口調で答えた》 優里被告「まず結愛を施設に入れて雄大を引き離し、きちんと離婚してから絶対に結愛を迎えに行くんだと。その方法しか思いつかなかったです」 弁護人「医療センターでは(優里被告が)精神科に診てもらったのですね」 優里被告「私は『下剤を毎日飲んでいる』と言って、精神科の先生が『びっくりしないからどのくらい飲んでる?』と。『1日2錠ずつです』と言ったら、その先生が『たいしたことないね』って言われた一言で…。私は雄大から『人間としても女としても母親としても努力が足りない』と毎日言われて、でも私は頑張っていると思っていました。先生の一言で、雄大の言うことは本当なんだって思いました」 《優里被告が雄大被告から支配されていく過程が、生々しく語られていく》=(5)に続く

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