池袋暴走母子死亡事故 初公判詳報(3)手をつないでも冷たく硬く…遺族の夫、亡き妻へ「娘を天国に」

 《東京・池袋で昨年4月、乗用車が暴走して母子が死亡し、10人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)の初公判では、検察官による証拠の説明が続いている》 《検察官は事故で亡くなった松永真菜(まな)さん=当時(31)=と長女の莉子(りこ)ちゃん=同(3)=の遺族、拓也さんの供述調書を抜粋して読み上げた》 《拓也さんは、プロポーズをしたとき、うれし泣きをした真菜さんを見て、「一生をかけて幸せにしよう」と心に誓ったという。そして2人は結婚し、莉子ちゃんが誕生する。拓也さんは「人の命は何て尊いんだろう。愛する人と授かった大切なこの子を、私の人生をかけて守ろう」と決意したという》 《真菜さんは莉子ちゃんの育児日誌をつけ、莉子ちゃんの成長を記録していた。春は桜を見に行った。夏は祭り、秋は紅葉を見に、冬は温泉に出かけた。家族で四季を感じ、「幸せな生活」だったと振り返る拓也さん》 検察官「温泉に入ったときのかわいらしい顔が見たくて、(また)温泉に連れて行ってあげたいけれど、もうできません」 《昨年4月19日の昼休み前のこと。真菜さんから、莉子ちゃんが遊んでいる様子の写真が送られてきて、テレビ電話で話したという》 検察官「(それが)最後の会話になるとは夢にも思いませんでした」 《その後、警察から電話があり、拓也さんは急いで電車で病院に向かった。病院には変わり果てた2人の姿があった》 検察官「美しかった真菜は傷だらけでした。莉子は『見ないほうが良い』と言われました。どれだけ痛く、どれだけ無念だったかと思うと、涙が止まりませんでした。莉子の遺体はあまりに損傷がひどく、(修復に)数日かかると言われました。一人にしたらかわいそうだと思い、修復の依頼はしませんでした」 《拓也さんは火葬までの間を振り返った。拓也さんは2人の遺体の間に横たわり、手をつないだという》 検察官「(2人の手は)冷たく硬く、握り返してくることはありませんでした」 《拓也さんは2人に話しかけ続け、莉子ちゃんが好きだった絵本を読み聞かせた。莉子ちゃんには「莉子、大好きだよ。お母さんと手をつないで離さないで」と、真菜さんには「莉子を天国に連れて行ってあげて」と伝えた》 《静まり返る廷内。真菜さんの関係者とみられる男性はハンカチを取り出し、目頭を押さえた》 検察官「これだけの大きな交通事故を起こして、高齢だからと軽い罪で終わられたくはない。(飯塚被告には)可能な限り長い間、刑務所に入ってほしいと思います」 《飯塚被告は車いすに深く腰掛け、じっと聞いていた》

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